昔、5月5日は群馬記念だった。

直線に入ってストロングブラッドが先頭に立った。プリサイスマシーンも粘る。どうやらこのままの態勢で決まりそうだ。いや、後ろからジワジワやってくる。タイガーロータリーだ!水野貴史が来た!でも届かない、そのままゴール。タイガーロータリーは3着だった。地方競馬の中でも有力なスプリンターであるタイガー、見せ場は作れた。

5年前、2004年の5月5日。僕は高崎競馬場交流重賞「群馬記念」というレースを見ていた。中央競馬の馬が参戦するこのレース、地元高崎競馬の馬はこれまで中央の馬に歯が立たなかった。タイガーは精一杯走って掴み取った3着。来年こそは、と思えるものであった。

でも、「来年」は来なかった。


2004年で高崎競馬は廃止。群馬記念もなくなった。

最終日は大雪で途中打ち切りという、何ともいえない悲しすぎる結末だった。

その最後の群馬記念から5年が経つ。現在では5月5日には船橋競馬場にて統一GⅠ「かしわ記念」が行われている。でも、船橋競馬が群馬記念の代わりになることはない。

僕はここ数年、5月5日は春の拡大コミティアに出かけるようになった。

ビッグサイトで、創作作品と出会い、いろんな話をして、本を買って。普段は二次創作で活躍されているサークルさんの一時創作作品をお目にかかれる貴重な場でもあったりする。

それでも、5月5日になるとやっぱり群馬記念を思い出すのである。生で見たのは4回だが、ハイな気分で見ていたため印象が濃いのだ。

先日、浦和競馬場に行ってきた。久しぶりに水野騎手の姿を見た。場所は違えど、なんとなく懐かしい気分になった。

もしかしたら、今年の大晦日は現在場外馬券売場となっているBAOO高崎に行くかもしれない。廃止になってちょうど5年が経つその日、廃止の日に現地にいけなかった僕の、高崎競馬に対する未練を断ち切るために。

本当に行くかどうかは、7月中旬、C77の日程が発表されないと分からない。大晦日に最終日が来た場合、恐らくはべびプリジャンルで申込をすると思う。それでも、大晦日にいけなくても今年は一回、BAOO高崎に行きたい。

そして、いつかは高崎競馬場を舞台にしたSSを書いてみたいな、なんて思ってみたり。



5月5日は特別な日。何年経とうとも、高崎競馬場があったこと、群馬記念があったことは僕は決して忘れない。