べびプリSS「バレンタイン・イヴ」
「明日は、どのタイミングであいつにチョコレートを渡そうか」
ヒカルは物思いにふける。ヒカルにとってバレンタインデーは、憂鬱な一日でもある。チョコレートは、あげるものというより沢山もらうものになってしまっているのだから。平日だから仕方ないのかもしれないが、この大波を毎年被るのは体力を使う。帰る時には抱えきれないほどのチョコレートで一杯だ。
「やっぱり、一対一になれるとしたら、夜だよなぁ。だけど、どこで見られるからなぁ」
渡すにしても、19人も姉妹がいる家だ。誰かに見られるのは恥ずかしい。そう考えると、頭の中がまたグチャグチャしてきた。
「考えたって、仕方ないか」
そう思ったら、なんだか楽になった。とにかく、あいつの笑顔が見られれば、最高のバレンタインになるのだから。